original
{{detailCtrl.mainImageIndex + 1}}/4

大工日記

残り2点

1,000円

送料についてはこちら

著者:中村季節 「イギリスで夢破れ利尻島で昆布を干したり東京でアルバイトをしながら暮らしていた女が、家業を継いで大工の見習いをはじめる。その最初の数ヶ月の記録。」 (著者より) 第5回「日記祭」出店作品。 ------- 五月二十日(月) 5時起き、5時15分出発。幕張。きょうは一日雨。後部座席でぐうすかねる。朝はツナごはん。オイルのやつなのでカロリーが気になる。  いつもの現場に一番近いマンションギャラリーの駐車場にとめる。「あの駐車場をつかっているのはだれですか! とにかくすぐ移動してください! 現行犯は逮捕します!」と朝礼でまつエクの監督がまた怒っていた。なのできょうはヘルメットかくしてこそこそいどう。あと、ロビーにすんごい高いじゅうたんを敷くから絶対によごすな! もはや近づくな! とも言っていたな。わたしたちは野良犬だろうか。汚れた足でおいはわられながらねぐらをさかす痩せた茶色い犬のすがたを思う。  朝礼終わってぞろぞろ現場にむかう職人の列についてあるいていたら、お前きょうどこ停めた? ああ、本田圭佑のとこ、という会話がきこえる。歩いて10分くらいのとこの本田圭佑フットサルパークの駐車場。そっか、おまえも本田圭佑のとこかー、とみんなが話していると、なんか本田圭佑がフルネームで呼ばれるタイプの地元のともだちみたいに聞こえてくる。  午前は二階のパーテーション取り付け。電気屋さんたちがなにかを待機しているのか、部屋の片隅に積まれた毛布のうえでひっそりとしている。 六月二十二日(土)  ひとりで小さな魚を焼きながら暮らしたいと思う。

セール中のアイテム