original


著者:オカヤイヅミ
二〇二〇年
某日
突然、雪が積もった。花見をする予定だった人たちとビデオ通話で集まる。それぞれの家で皆何かを飲んでいるが手元は映らない。ポツポツと誰かがいなくなったりまた参加したり、どこかの家のチャイムが鳴ったりする。誰かがいる安心感と、見られていない場所のある気楽さで飲み過ぎた。家族のある人たちは、画面の向こうで夕食に呼ばれていく。私は前日のおかずで飲み続けて眠った。
(p94-95)