original
著者:きら
GWに2年ぶりに地元に帰省しました。長らくまともに会話してこなかった親や、地元に帰った友達との会話を中心とした7日間の記録です。
親へ自分の状況を開示し、また母が自身の過去を語り、ずっとネックに思ってきた親との関係を少し前進できたような気がしています。
(著者SNSより)
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「5月5日(日)
ケージと窓の隙間で猫が日向ぼっこしている。指でツンと突いてみる。だいぶ私に対する警戒心が薄れてきたようでうれしい。
今日も母と一緒に姉のパン屋の手伝いをした。開店前からお客さんが並んでいる。あっという間にパンは売り切れ、姉と夫さんからお礼にみかんジュースと石窯で焼いたピザをもらって食べた。これで十分なのにバイト代までもらってしまって、ありがたいやら申し訳ないやら。
家に帰って布団に転がりひと休みした後、母と父の誘いで牧場へ向かった。昨日Nちゃんからもこの牧場のことを聞いていた。個人の牧場なのに割と広く、芝桜が綺麗に咲き、ソフトクリームが美味しいらしい。母が運転し、助手席に父が座り、後部座席に私が座る。ナビに頼らず進む母。途中、道を間違えたようで山道に入り、父と口喧嘩が始まりそうになっていた。Google Mapで調べると、やはり違う道に来てしまっていたよう。「あんたのせいで」「いやお前が」と言い合う二人の様子を眺めながら、いつも通りだな〜と思った。急な坂を登った先にある牧場は涼しく、少し肌寒いくらいだった。芝桜はピークを終えてまばらに咲いていた。ヤギがいるのが見え、鶏の鳴き声が聞こえたが、牛の姿はなかった。
三人ともソフトクリームを頼んで寒くなりながら食べた。山の斜面に黄緑色の芝生が広がっている。てっぺんを目指して歩く。鹿のフンがたくさん落ちていてそれを避けながら向かった。さっきまで近くにあった小屋が遥か遠くに見える。ようやくてっぺんにたどり着くと、父はその場に座り、母はその辺りをさらに歩いて散策していた。目の前には山々が連なっているのが見え、風が強く吹いていた。」
(p.26〜27より抜粋)