original
作:椋本湧也
装丁:古本実加
装画:三瓶玲奈
楽曲提供:秋吉敏子
94歳の祖母に話を聞き、27名の同世代が綴った「8月15日」の日記集。
戦時下の記憶をめぐる祖母へのインタビューと、寄稿者による日記の朗読を収録した『音声版』を聞きながらページをめくってみてください。
"日本では戦争を体験した世代が数を減らし、離れた土地では戦争が長期化するいま。戦争を体験していない私たちには何ができるだろう。94歳の祖母に話を聞くと、戦争が終わって最も嬉しかったのは「部屋の電灯が明るいこと」だったと教えてくれた。そしてこう思った。戦争とは日常を奪うものであり、なにげない日常こそが私たちを存在させてくれているのではないか、と。
この本に書かれているのは、たった27名の個人的な一日。風が吹けば消えてしまいそうなほどの小さな灯りです。しかし、暗さを増す世界のただなかで、その灯りを守っていくこと。その明るさをうたい、うたいあうこと。それが、ほんとうの意味で私たちの「明日」を作ると信じて、この本を世界の内に投じます。"
(「はじめに」より)
〈ルール〉
1.戦争をめぐる祖母との会話を聴いてください。
2.その上で「8月15日」の日記を書いてください。
3.日記を朗読してください。
戦争が終わって、電気つけてもいいって、黒い布切れを取った時にね、もう一番嬉しかった。ああ明るいなーと思うた。20燭とか、そんなんやったよ?空襲で狙われんようにこんな筒みたいな黒いのを垂らして真下だけしか明るくないの。
だから一番嬉しかったんが、明るかったこと。
(祖母へのインタビューより)