著者:プミポン、さぎ、嶋、kbsw
あんしん出版のお二人+普段文章を書かないご友人2人の、合計4人の2週間の日記です。
『ふあんをまるめて星にする』を刊行されたさぎさんと、あんしん出版の嶋さんと行った小さな雑談イベント「ふあんをまるめる会」で先行発売したものになります。
10月13日(金)
嶋
「秋だ。秋である。まっとうな秋。出勤している場合ではない。こんな秋こそ、積んでいる本を抱え外に出て、日差しの暖かさと明るさをたよりに青空のしたで本のページをめくる、そういうことをしなければならない。まあ、できないんですけど。したすぎて週末の天気予報を見たけれど、時間がつくれそうな日曜日は、雨が降るようだった。
正しい秋を過ごせた記憶は、ひとつだけある。コロナ禍の十月、外なら会えるだろうと、大学時代のサークル同期と新宿御苑へ行った。近くの草枕でカレーをテイクアウトし、原っぱにビニールシートを敷いて食べた。そのとき、おのおのが持ち寄ったおやつが、さつま芋をふかしたもの、レモンケーキ、ぶどう、柿、栗きんとんだった。シートのうえに広がったまさに「秋そのもの」に笑いつつ、高い空からは黄みがかった日差しがさしていた。秋の食べものが集まったからではない。その秋の食べものたちに降り注いでいたあの黄色い日差しこそが、正しい秋だったように思う。」