

著者:つちやりさ(つちや温水プール)
デザイン:矢口莉子
2021/4/13から2023/12/24までの日記。
『2022.7.25
野外イベント終了後のある日の夜。折りたたみの椅子を3つまるく並べて、オーディエンスのいない、3人の座談会みたいなことになっている。
「あなたの5年後はどうなってますか!」
いきなり大喜利みたいなものが始まり、
「自由度が上がっている!」
とか
「お店を全国に展開してる!」
とか
「温水プールパリ支部!」
とか
あーだこーだ、各自、好き勝手言いまくる。妄想が、夢が広がり、熱くなっている。
そこへ、席を外していたひとりが戻ってきたので、もうひとつ椅子を出して座らせて、
「あなたの5年後はどうなってますか!」
意気揚々と問いかけると
「え?5年後?そんなのわかんないですよ。だって明日死ぬかもしれないんですよ」
チーン。
マジか。
いや、この人、マジだ。
「明日死ぬかもしれない」なんてのはよく聞く言葉だけど、この人のは、マジだ。
ってのがすぐわかるくらいマジな感じでその人が言ったので、わたしたちは、面食らったのだった。
衝撃の思い出。
そんなことを急に思い出したのは、その人に久しぶりに会ったから。
3年前くらいに、当時働いていた会社を辞めようとしていたとき、
「2、3年後、お金が貯まったら、こんなことをやりたいんです!」
と言って歩き回っていたという彼女。(当時はまだ明日死ぬ精神じゃなかったとこもなんか可愛い)
そしたらある人から、
「その構想、おもしろいから、やりたいと思ってるなら、いま、やったほうがいいよ」
とポン、とお金を渡されて、そのお金を元手に、その構想をすぐに実現することになったんだという。
いや〜すごいことだね。そのお金を渡してくれた人、すごいね、というはなしになる。
「たぶんその人は、2、3年したら、そのきもちが変わってしまうことを、わかってたんだと思います。だから、いま、やりなさいと」
その話を聞いて、そうだよなあと思う。
一週間、ましてや一日の中でも、あれやりたい・やっぱやーめたとか、気分なんてコロコロ変わるし、天気にまで左右されるというのに、年齢も環境も変わるであろう予測不能な2、3年後に、きもちだけはおなじでいるなんて、ちょっとした、奇跡みたいなものだよなあ、と。
ハッ!
そう考えるともう、いま、やりたいことを、いま、やる。それしか、できることはないのでは。
く〜。
いま、わたしはなにをやりたい?』(2022.7.25の日記より)