
著者:斧澤未知子
2023年のある日、2015年から書いていた日記を再発見して読んでいると、私は考えていることが8年前から全然変わってないのではないか? という気がしてきた。それでこのふたつの日記を、前者はほとんど全部、後者は抜粋で、並べてみたものがこの日記本というわけです。
(「はじめに」より)
『2016年5月25日 水曜日
光陰矢の如しだ
昨日道端でマスクをしている人を見て意識したけど、私には偏見がある。マスクをしている人をそんなに快く思っていない。とはいえ矛盾があり何だそのおかしなバイアスはと自分でも思っていて、たとえば風邪とか呼気で感染する病気の人の場合マスクをされなかったら困るのは自分だ。花粉症が辛いのは非常に理解できるしあろうことかこんなことを言う自分もマスクをする。全然理に通ってないのは頭では分かっているのだが、パッと見た時に反射的に印象悪く感じてしまう。
喫煙者に対しても同じような偏見を持っている。喫煙がその人の性格、考え方の正しさ筋の良さとは関係無いはずなのに、心の中で喫煙者チェックを入れている。喫煙する人は気が弱くなんか無さそう、喫煙する人は自分よりいくらかは強気そう、と思う。あと、自分よりうまく人生を乗りこなせそうと思うかも。
これって世界を自分なりに理解するためにある指標を見つけそこに分類される類型を抽出するという手探りのもそもぞとした作業が、分節するときの指標の持ち方が、下手ということだろうか。
マスクをしてもらって問題無いし、煙草を吸ってもらっても問題無いです。
ー ー ー
Mar 15, 2023
マスク、 私は花粉を避けるためにまだしばらくつけ続ける気 がする。 そう考えるとびみょ〜な時期に無マスク解禁したのかな〜とも思える。 花粉避けでつけ続ける人多いと思うんだけど、 それ見て「みんなつけてるからつけとかなきゃ…」 って感じる人が出て、一方でやめるぞ! ってやめる人がいてそれが (政府の勧めなのに)大胆に見えてちょっと訝しい目で見られる可能性があったり、疑心暗鬼でお互いを眺めることになるような。
鼻の内側にワセリン、私もやってみようと思う。』
(p.62-63)