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ウクライナ日記

500円

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著者:児玉浩宣 戦時下のウクライナに取材に行った2022年3月1日から4月3日までの日記。 『3月17日 リビウ 申請していたウクライナ国防省のプレスカードがメールで届いていた。 朝からテレビに流れる前線でのニュース映像に疲れたせいか、自分の中で徐々に意識が別のところに向かいつつあるのを自覚していた。 昼過ぎ、リビウ中心部にあるスケートパークを訪れた。スケーターたちは今回の戦争をどう思っているのだろうか。パークでは子供から大人までたくさんの人で賑わっていた。戦争中というのが嘘のようだ。世界が見つめる状況と、目の前の状況のギャップに戸惑う。 スケボーを持った女の子が話しかけてきた。日本から来たと答えると、日本の歌を知っているといって歌い出した。細い歌声のなかに確かに日本語が聞き取れる。「SAO」の歌だという。そのSAOが歌手のグループ名なのか曲名なのかよくわからなかった。(あとで調べたらソードアート・オンラインというアニメの主題歌のようだった)。キーウから西に100kmほどの街、ジトーミルから避難してきたという彼女は「戦争は嫌い。パパと離れて暮らさなきゃいけなくなったから。このスケボーは2年前に母親が誕生日プレゼントで買ってくれたもの。大切だから避難先に持ってきた」と言った。自分で調べてこのスケートパークに来たという。今ではここで友達も作って楽しんでいるが、それでもいち早く故郷に帰って父親に会いたいだろう。 夕方、タクシーの配車アプリを使って郊外へ向かう。ショッピングモールで着替えの下着を買う。郊外の集落の入り口を守るバリケードの中に、キリスト像があった。帰宅する女性だろうか。キリストへ十字を切ったあと、バリケードの奥へと消えていった。』

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