著者:道草ヤスコ
出版社:南の風社
十二月二日(土)
「フニンの疑いを持った私たち。まず最初は病院選びから始まるわけだが、これは割と簡単だった。独身時代に一度、がん検診に行ったことがある婦人科のクリニックに心当たりがあったのだ。
とはいえ、もう何年も前のことなので、念のためホームページで不妊治療の実績があることを確認し、メールを投げていた。返信はすぐ届き、「電話予約を取った上で、ご主人と二人、保険証を持って来院してください」との内容だった。
その来院日。車で自宅から30分程のクリニックへ向かった。受付を済ませ、小奇麗な待合室でしばらく待っていると名前を呼ばれた。」(p.10)