深川岳志『軽井沢日記 赤子連れドタバタ旅日記』
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深川岳志『軽井沢日記 赤子連れドタバタ旅日記』

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デジタルリトルプレス 著者:深川岳志 発行年:2020 日記年:1992-2005 古い日記を発掘していると、いくつも旅の日記が出てきた。 幼い子を連れてのドタバタ日記。あの頃は「ノートワープロ」を持ち歩いていたのだった。 * 1992年7月31日【牛のいない牧場】 〈横一列にバラックが建っている。牧場関連の産品売場であり、その 間を抜けると牧場だ。たしかに絞りたての牛乳をジョッキに注いで売 っている。妻はさっそくごくごく飲む。私はすこしだけお相伴にあずかる。残りを息子が嬉しそうに飲んだ。いろいろなものを売っているが、パンに魅かれた。これはうまそうだ。後で買おうといって細い通路を 抜ける。斜面に動物小屋があり、山羊と兎を飼っていた。えさは客が 買ってやる方式のようだ。大人の腰くらいの高さの鉄条網に覆われて いるのが無惨。放し飼いにできないのかな。 あなた、仲間には愛想よくしないとダメよ。 妻が山羊と兎の餌を買ってきた。だれが仲間だ。人は私の顔を見、しばらく考えて、あっ、犬に似ている、とか、むしろカモノハシとかいう。ふつう、そういう時は芸能人やス ポーツ選手の名前を上げるものだと思うが、私の場合は動物ばかりだ。 にんじんを切ったものを輪ゴムで止めてある。餌なしの時は私に見向きもしなかった山羊がどどどっと寄ってくる。比較的上のほうにいて遠慮している山羊に投げてやる。山羊に別れを告げ、丘を登ったり下ったりして牧場の奥に入り込んでいった。 道の両側にはサルビアの赤い花が植えられている。空は青い。丘に 登るとあたり一面林しかないことがわかる。とても気持ちのいい空間だ。 だが、問題がひとつある。牛はどこにいるのだ。せっかく牧場にきた以上、どこまでも牛を探し歩きたいが、時間の余裕がない。16時のバスに乗ろうと思えば、1時間弱しかここにいることはできない。 2つ目の丘でレジャーシートを敷いて寝ころがる。息子はひさしぶりにだっこ紐からおろされて手足を伸ばす。私たちはすみやで買ってきたおやきを食べた。うまい。息子にはバナナを与える。歯を剥き出して 食べた。 あまり山羊と変わらないな。 写るンですで写真をバシャバシャ撮る。寝ころんで緑を見ていると、すーっと眠り込みそうになる。体はどろどろに疲れているようだ。吐き気はすこし収まっているが、腸の奥のほうに異変を感じる。〉 ◎総文字数/ページ数 約91,213字/本文146ページ