麦島汐美『鏡台』
5e9c040455fa033412b4819d 5e9c040455fa033412b4819d

麦島汐美『鏡台』

¥660 税込

※こちらはダウンロード商品です

MUGISHIMA_KYODAI.pdf

35MB

デジタルリトルプレス 著者:麦島汐美 発行年:2018 日記年:2017 2017年初夏から秋にかけてtumblrへ書いたテキストと写真をまとめたもの。 講談社のアイドルコンテスト「ミスiD」の一次選考通過日から、最終面接の前日までが記されています。 自分ひとりの部屋、わたしとあなたが生きていた記憶のこと。 * 2017年6月12日(月) 〈「ああ、わたし、このひとのことを愛していない」  好きだと思っていた体温の影が布団に入ってきてわたしを抱きしめた瞬間、そう気付いた。少しはどきりとしたけれど、遠い昔、もう今はいない女の子による、歩けないほどの胸の痛みには程遠かった。なにが好きでこんな部屋に住んで、好きでもない女の子と一枚の布団で寝ているんだろう。東京のアパートでは恋人が待つはずこの人は、それからわたしに触れるでもなく、話すでもなく、ただ眠ってしまったのだった。女の子の家でどういうこと。わたしって女の子なのか。誰が決めたのか。別にもういいけど、うっすら悲しくて、虚しくて可笑しくてにこにこしてしまった。それからあとは、「バカみたいなタトゥー入れてみたいな」「あの子達と集まったときこの夜の虚しさのこと話そう」。生温かい肉に抱きしめられながらぼんやり考えていたのはそんなことだった。孤独で淋しくてて心地いいね。かと言って、恋とか愛とか若さとかの衝動を殺してしまおう、とはかろうじて思わないのだけれど。私はいつか愛っぽいなにかを見つけるのだろうか。〉 ◎総文字数/ページ数 約30,000字/本文91ページ